従来の日本では住まいとは「雨・露をしのげればそれでよい」という「質素で禁欲的な生活意識」が伝統的な美徳とされてきました。
戦後もその発想は続いていましたが、昨今では住宅環境が著しく改善されるようになりました。
日本各地で起こった大規模災害による耐震基準の改正などをはじめ、シックハウス症候群などの現代病やヒートショックといわれる家庭内死亡事故、また超高齢化社会への移行に対応するべく法律が見直され整備が進んでいます。
国では①建築基準法②品確法③省エネルギー法の3つを整備して、2020年をめどにすべての新築住宅に対して改正省エネ基準の適合義務化を目指して準備が整いつつあります。
従来の省エネルギー法は住宅の断熱性のみに限られていましたが、2013年の改正基準では断熱性能に加え、冷暖房器具や太陽光発電、エコキュートやエネファームなどの給湯設備や蓄電池など自家発電に代表される「創エネ」を総合的に評価する一次エネルギー消費量基準が導入されました。なお国は、適合義務化を推進するため補助金を交付するなど予算を確保し、本気で対策を講じています。
では現存する既築住宅への対策はどうでしょうか。国では同様に省エネルギー改修(省エネリノベーション)に対し補助金を交付していますが、国が定める「高性能建材」と「高性能設備」の同時採用改修が条件となるなど、住宅ローンを抱える一般の方々には敷居の高い補助内容となっております。こういった現状の下、既築住宅のうち約4割が未断熱住宅との統計が発表されています。省エネ住宅の普及、実現へは既築住宅の改修が必須なのです。
本機構では国から採用されていない外断熱を推進するため、独自に選定した建材と工法、そしてしっかりと責任を持って提案できる選定業者を通じて補助金を交付し、少しでも既築住宅の省エネ断熱化の推進に貢献できればと設立いたしました。
もはや省エネ住宅の普及は住環境の改善のみならず、再生可能エネルギーを活用した一次エネルギー消費の抑制という国のエネルギー政策にも関わってきています。
また家庭内での不慮の事故死亡者が近年、交通事故死亡者を上回りました。これは転倒や転落といったバリアフリーが実施されていない住宅や、ヒートショックと呼ばれる寒暖差などによる入浴中の溺死や溺水などによるものが多く含まれ、65才以上の高齢者が年間10,000人以上もお亡くなりになられています。
既築住宅の省エネ改修はこれから私たちが避けて通れない「超高齢化社会」の最重要課題である「医療費の削減」にも貢献することができるのです。
私たちは省エネ住宅の推進により、快適で過ごしやすい住環境、そこから生み出される再生可能エネルギーの普及による地球環境改善への貢献、そして超高齢化社会での健康で充実した毎日との生活を創造していくために活動を展開してまいりたいと存じます。